思いをしっかりと受け止め、形にしていく

若葉石材の代表取締役である建部由宜さんにとって、中学、高校時代の六年間はまさに柔道づけの毎日だった。高校卒業後は、意識的に柔道から距離を置いていたが、先日、十数年ぶりに柔道着に袖を通し、帯を締めた瞬間、パチンと何かのスイッチが入った。身が引き締まり、背筋がピンと伸びたのだ。

柔道はまず受身を習う。つまり、最初に負け方を習うスポーツである。世の中に出れば、失敗すること、負けることは珍しいことではない。むしろ、人生とは失敗の連続といってもいい。かって、失敗にくじけそうになったとき、建部さんは、柔道を通じて学んだことが役だったと話す。苦しいときでも、常にポジティブな姿勢を忘れなかったのは、そのためだ。

 

人は幸せだから笑うのではなく、笑っているから幸せになる。これは建部さんが好きな言葉だ。

笑顔を忘れない。それはお墓づくりにおいても大切なことだと建部さんは考えている。お墓をつくることは、家の建前と同じで、本来、おめでたいことである。笑顔も大切な供養なのだ。そのうえで、亡くなられた方が、どんな人生を歩んできたのか。家族は何を大切にしているのか。そうした思いを形にしていくことが自分の仕事だと思っている。

建部さんが、久しぶりに柔道着に袖を通して身が引き締まったのは、いま、自分にとって最も大切なお墓づくりの原点を、中・高と熱中した柔道が改めて気づかせてくれたからかもしれない。

                   

                      EdiT知多半島 Vol39より